
Photo by Kunimasa KAWABE
当時中学生だった弟が、学校の帰りに床屋に寄って丸坊主になって帰ってきました。
その頭を見て兄は一体どうしたのだろうかと思い「失恋でもしたのか?」と尋ねてみました。
すると弟は丸坊主にした理由を兄に説明しはじめたのですが、その理由はなんとも意外なものでした。
昔、当時中学生の弟が学校帰りに床屋で丸坊主にしてきた。
失恋でもしたのかと聞いたら、小学校からの女の子の友達が今日から登校するようになったからだ、と。彼女は今まで病気で入院しており、薬の副作用で髪の毛が全部抜けてしまったらしい。
「女が丸坊主じゃ恥ずかしいって言ってたし、だったら他にも丸坊主がいりゃいいかなと思って。
野球部の奴等は元々丸坊主だけど、野球部じゃない丸坊主がいた方がいい」と弟は言っていた。翌日、丸坊主で登校した弟は帰宅するなり「同じ事考えた奴が一杯いた……」と。
なんでも優等生から茶髪問題児を含め、クラスの男子全員が丸坊主かそれに近い頭になっており、病気の子と仲が良い女の子達までベリーショート、一人は完全な丸坊主になってたらしい。更に担任の先生(男性)まで丸坊主。
丸坊主だらけの教室で、病気の子は爆笑しながら「ありがとうありがとう」と泣いたという。示し合わせたわけでもないのに、全員同じ事考える当時の弟のクラスに和んだ。
ちなみに病気の子は今も健在、弟は意外に丸坊主が気に入ったらしく、それからずっと丸坊主。
中学生男子達の優しい心遣いに心が温かくなりました。なんとも素敵なお話ですね。
僕の知る限りでは、こういうエピソードは海外にもいくつかあります。例えば米・カリフォルニアにある「エル・カミノ・クリーク小学校」では、4年生の生徒15人が1人の同級生のために、自らの意思で丸坊主になるという出来事がありました。
脳腫瘍を患ってしまったトラヴィス・セリンカ(10歳)君は、7週間にわたる放射線治療の末に髪を失ってしまいます。治療の結果、再び学校に通えるようになったトラヴィス君でしたが、登校時は髪を失ってしまった自分を見てみんながどう思うだろうかと不安な気持ちでした。
しかしいざ学校に登校してみると、周りは自分と同じ丸坊主だらけ。

トラヴィス君はこの出来事に感動し、「みんなが僕のためにしてくれたことを知って、とても驚きました。ここに僕のすべての友達がいる。それが知れて、本当にうれしいです」と語ったそうです。
最初の中学生のお話もラヴィス君のお話も、どちらもとても感動的でした。いつか日本中の学校が、こういう優しい生徒達で溢れるようになったら素敵ですよね。