最後だとわかっていたなら ~わずか10歳でこの世を去った愛する息子へ伝えきれなかった想い~

幼い息子の頬にキスをする母親と、嬉しそうに微笑む息子1

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ノーマ・コーネット・マレックという女性詩人をご存知でしょうか?

ケンタッキー州ラインフォーク生まれたノーマさんは、美しい山々に囲まれた大自然の中で祖母に育てられました。

やがて成長して結婚したノーマさんは二人の子供に恵まれます。しかし幸せな時間は長くは続かず、夫との関係は破局を迎えます。

離婚にあたってノーマさんは、なんとか愛する二人の息子の親権を勝ち取ることができました。しかし元夫は、あろうことかその決定を無視し、強引に息子達を連れ去ってしまったのです。

息子達を奪われたノーマさんは、警察の協力を得て必死に行方を探し続けました。そして2年の歳月が流れた頃、ある知らせにより息子達の消息を知ることになります。

2年間も探し続けた息子達の行方。その知らせは、ノーマさんにとって何よりも嬉しいものとなるはずでした。しかしこの時、ノーマさんは喜ぶどころか絶望の淵に叩き落されてしまったのです。

なぜならその知らせは、長男のサムエル君がこの世を去ったことを告げるものだったからです。当時10歳だったサムエル君は溺れていた小さな子供を助けようとして、逆に自らの命を落としてしまったというのです。それはあまりにも気高く、あまりに痛ましく、そしてあまりにも早すぎる死でした。

その後、ノーマさんは引き取った次男と共に暮らす日々の中、亡くなったサムエル君に伝えきれなかった想いを書き綴っていきました。これからご紹介するのは、そんなノーマさんの想いから生まれた一遍の詩です。

詩は、テキスト動画と文字による文章の両方でご紹介しています。どちらでも、お好きな方を読まれてください。

「最後だとわかっていたなら」10歳の時に事故死した長男に伝えたかった詩…。

「最後だとわかっていたなら」
作・ノーマ コーネット マレック / 訳・佐川 睦
 
あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう
 
あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう
 
あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう
 
あなたは言わなくても
分かってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう
 
たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい
 
そして わたしたちは 忘れないようにしたい
 
若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを
 
明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから
 
微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
 
だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも 大切な存在だということを
そっと伝えよう
 
「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから

引用元:サンクチュアリ出版

1989年に発表されたこの詩は、9.11同時多発テロの犠牲となった方々を弔う追悼集会やテレビなどで朗読されたことをきっかけに、チェーンメールで広まっていきました。

広まっていく過程では、この詩の作者が同時多発テロの救助活動中に命を落とした(または行方不明となった)29歳の消防士であるという誤情報も流れたようです。

本来の作者であるノーマさんは、2001年より主にインターネットを活用して作品を発表し続けていましたが、2003年に末期癌であることが発覚。そして翌年2004年の7月18日にその生涯を閉じました。享年64歳でした。

世界に感動を与えてくれた女性詩人の早すぎる死。それは本来、悲しむべき出来事なのかもしれません。しかし僕は、ノーマさんの死を悲しむ気にはなれないのです。

なぜなら、きっと旅立ったノーマさんは天国で愛するサムエル君と再開し、生前に伝えきれなかった溢れる想いを伝えただろうと思うからです。

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